悠斗を小脇に抱き、私はお店を出て悲鳴の原因を探す。

逃げる人たちの流れに逆らって突き進むと、ヘルメットを被った男が、刃物か何かを振りまして暴れてる。

手の出せない警備員たちが、距離を保って追い掛けてるも、進む先には人がまだたくさん居て、パニックが起こるだけ。



「あ、お巡りさん!ママ、お巡りさんだよ!」



「……あっ、」



すれ違った女の子が、私を指差して“お巡りさん”と言う。

その声に反応した男が、私に振り返って来た。

私は男から顔を背けて、知らん顔で切り抜こうと考える。



「動くな!」



「パパ……?なーせクンだ!」



サイレンが聞こえてすぐ、男の周りを取り囲んだ警察集団。

その中には、斗志樹と七星たち木ノ島の刑事課が勢揃い。

安堵し、私は悠斗を下ろすと、斗志樹の元へと引っ張られた。



「悠斗、危ないから離れるの!パパはお仕事中なの!」



「じゃあ、ママはっ!?」



「悠斗……」



「なーせクン、あゆクン、抱っこ!」



「えっ;;」



「七星もお仕事中!」



「ママもお仕事っ!」



…悠斗……。