火を消して、料理を中断。

愛有斗が寝ていた為、1人で1階へと降りる。



「悠斗。怒ってごめんね?けど、パパとママが嫌いって、どういう事?」



「キラい!ママはママじゃない!」



「悠斗っ!」



「怒んなや。悠斗の気持ちを考えてやれ」



「わからないから、私も訊いてるんじゃない」



「どうしてわからんのや。お前が悠斗を見てない証拠やろ」



「見てるやん!母親業を1番にしようと思ってるやんかっ!」



「愛依、怒鳴ってどうしたの?」



父親の背に隠れる悠斗は、何故“キラい”と言うのか、理由を言わない。

父親も父親で、悠斗を庇って、私が責められる始末。

帰って来た母親は、わけはわからずとも、駆け寄って来た悠斗を抱き上げて、キッチンへと行ってしまう。

何事もなかったように、ケラケラと笑い、母親が冷蔵庫から出したタッパーを指差して、「食べる食べる!」と言ってる悠斗。



「もう、今日は預ける……」



「わかるまで、俺たちが面倒見る」



「私があの子の母親や!」



「せやったら、悠斗の気持ちを理解しろ言うてるやろ!」



父親と、一歩も引かないで居ると、母親は「騒ぐな」と包丁を木のまな板に突き立てた。