「あ……;;」



七星は知ってる。

私がキレると関西弁になってしまう事を。

父親が関西人なだけで、関西育ちではない都会の外れにある小さな街育ちなのに、こんな時だけ出てしまう。



「人様に銃口を向けて、クソガキがどつかれたいんかッ!!」



ーードンッ



「もう蹴飛ばしてるし;;」



私は男を蹴飛ばし、呆れてながらグチグチ言ってる七星の手を捻り上げ、銃を離させた。



「俺の右手がぁ……;;」



「誰のせいと思ってるんや」



…ふざけやがって。

命を無駄に危険に、晒させるんじゃねぇよ!



「すいませんでし……」



「――…?」



「しゃがめ――ッ!!」



ーーパン…ッ

…っ……!!!!

背後に違和感を感じ、私に謝ろうとしてた七星と目が合う。

課長の声と同時に、私に黒い影が覆い被さる。

顔だけ上げれば、課長が肩から血を流しながら私を擁護していた。



「もうっ!!何で庇ったんですかっ!!」



ポケットからハンカチを出して、課長の肩口を縛って止血。

課長は「勝手な行動してキレるな」と、私から離れた。

斗真たちに捕らえられた男は、意気消沈とも言える姿で、連れられて行く。



「……山下。銃弾を抜け」



「え……俺が?」



「肌身離さず持っとけよ」



「…………っ」



悠呀から聞いた事のある、本庁での伝説。

誰かヘマした相手を庇って銃弾を浴びた時、その弾をそのヘマしたヤツに渡すと、お守りどころか成長するらしい。