「あ、もう良いみたいだよ」



「うん」



鎮火した合図を出す消防隊員の様子を見て、七星と私は車から降りて、出火原因を調べる。

廃墟の倉庫で、荷物などはほとんどなく、根性強く誰かが火を点けたとしか思えない。

そこまで燃やしたかったのかと訊かれたら、そんな建物でもなさそうだけど。

くまなく建物を回ると、反対側から見回ってる七星と合流。

原因や、着火点が見付けられなかったのか、首を振り、頭を掻いた。



「七星、ここってさ、車より暖かいよね」



「うん。臭いが減らないし、周りが家やビルで、風の通り道が複雑なのかな」



「…………」



七星の言ってる事もわかるけど、建物の正面は道路だし、風だって抜けてて、あまりの風の強さに車に乗ってたのに、巡回してないのはおかしい。



「愛依ちゃん?お隣は燃え広がってないよ?」



「それはわかってるけど、乾いてるし、暖かい」



「確かに」



隣の民家の庭に入ると、消火用の水が入って来ただろうに土は乾き、またしても半袖で居れそうな位に暖かい。



「七星、署に連絡。私は消防と話して来る」



「了解」



これは、放火じゃない。