「それと、今から階級はなし。私は指揮官ではない。黒田課長に全権を託します」



「「「『はいっ』」」」



「なので、力を貸して下さい」



「刑事生活15年のプライドを見せよう」



「はい」



テーブルに残されてた、水瀬部長の刺繍入りの防弾チョッキを手渡すと、ジャケットを脱ぎ捨て、受け取る水瀬部長。

無線を用意し、私も自身の防弾チョッキを羽織り、銃を手に取る。



「……久しぶりに会うのが事件て、正直……嫌なんだけど……」



そして、斗志樹と向き合った。

会いに行こうと思えば行ける距離。

本当に寂しかった。

だけど、何だかんだで会えずに2週間が過ぎてた。

毎日のモーニングコール。

1日の業務内容を綴ったメール。

斗志樹をそれなりに、近くに感じてたのかな。



「あぁ」



「けど、斗志樹が突入する姿を見送るより、自分が行った方が、どちらも無事で終われる気がするんだよね……」



「何だそれ;;」



「信用してないんじゃないよ?ただ、生きて帰って来たい気持ちが強くなる。だから、行って来るね」



「わかった。でも、お義父さんの説教からは助けないからな」



「……あっ;;」



斗志樹がそう思うって事は、やっぱり怒られるんだ、私;;