正確には、私の母親と、坂田署長の奥さんである由良さん。

怒り顔の鬼と化した2人の後ろには、坂田署長を哀れむ父親と叔父さんも居る。

木ノ島刑事課OBが5人も揃い、何とも贅沢ではあるけど……何をしてるのか;;



「今、辞めたら生活どうするつもり??まだ下はこれから大学よ?あなた、馬鹿?愛依ちゃんに格好付けてんじゃないわよっ!」



…あぁ、確かに末っ子が高2ですね;;




「だいたい、本庁に乗り込もうってだけで退職する?馬鹿なの?2回目なのに退職願?愛依に預けるってさ、格好付けても迷惑掛けるだけでしょ?馬鹿なの?坂田っ!!」



「……すみません;;」



言われ放題で、面目ない署長。

他課からも、哀れみの視線が飛んで来る中、私の手にある退職願は叔父さんに奪われ、シュレッダーへと消えて良く。

そして、斗真のデスク電話をスピーカーで鳴らす父親。

だが一度、その電話を切る。



「誰が電話するん」



「お前じゃないのか!」



「そこは兄貴じゃないの?」



「や、芽依実やろ」



「えっ?何で私なの?どうせ乗り込むなら、坂田が適任でしょ!」



「そうよね?」



「えーっ??;;」



…女って、怖い……;;

私も女だけど、怖いよ、この人たち;;