返すべき退職願。

しかし、この中に込められてる坂田署長の気持ちが痛い位に伝わり、手が震え、動けない。



「守優、芽依実ちゃん、難波にどれだけ助けられたか。何度、苦しむ姿を見たか。愛依を通して、恩を返させて貰うよ」



「……すみませんッ……」



「愛があるから悪もある。親子3代、大変だった事が多いだろうけど、芽依実ちゃんと働けて、俺たちは幸せだった。愛依と斗真に出逢えて幸せだった。黒田君もみんな、愛依と働くみんなは幸せだろう」



「悪の対義語は善では?」



「夢が足りないな、君は」



「……愛だとリアリティに欠けるのでは?」



「煩いな!だからキャリアは嫌いだ!じゃあ愛依、後は任せたからな?」



「はい……」




たまには良い事も言えるんだと、感謝しつつ感心。

副署長の言ってる事もわかるけど、坂田のおじさんにしては、本当に良い事を言った。

ぶつぶつ言い合いながら去って行く背中に頭を下げて見送る。



「さーかーたぁ゛ーー!!」



「あなたぁーー!?」



そこに、聞き慣れた声で怒鳴る声が。



「はぁっ……!;;」



…鬼が、2人;;