「何でこんな事をした」



「……借金あって。纏まった金が入る予定があったけどチャラになって。そんで、むしゃくしゃした……」



「署にイタズラ電話したか?」



「した。刑事課の難波愛依にハァハァ電話しろって。よくわかんねぇけど、上手く行ったら100万やるって……」



「誰に頼まれた」



「小宮って女。後は知らねぇ」



謝罪はなくとも、斗真の問い掛けに素直に答えた男。

斗真と斗志樹が男の両脇を抱えて車まで連れて行く。

別車で署に戻ると、まだ小宮さんが居た。



「直ちにその女を取調室に連れて行け。本庁の水瀬部長への連絡も忘れるな。何が何でも、全て吐かせろ!」



共に戻って来た磯村さんの指示により、小宮さんがまたも私に叫ぶ中、連れて行かれる。

静まり返るフロアを進み、内線で坂田署長に連絡をすると、副署長とすぐに刑事課へとやって来た。



「愛依」



「はい……」



「これを、君に任せる」



「……署長……」



そして、退職願を渡された。