「もし、これが小宮刑事のストーカーからの危害なら、また教えてくれ。署長と何としてでも止めさせる。もちろん、小宮刑事も辞めさせよう。同じ警察官として、あり得ない事だ」



鼻息荒く、踵を返す副署長。

いつもは落ち着きある、恰幅の良いおじさんの副署長ですら、こうなるんだ。



「本庁のネット犯罪捜査をしてるヤツらに、愛依についての記載を全部潰すようには頼んだ。しかし、どこまで広がってるかはわからない。俺は、辞令もなくなったし、ここで犯人を捕まえる。逃しはしない。だから、協力を頼む」



「はい!私は協力します!」



「任せて下さい。愛依は妹みたいなもん。一緒に守ります」



「あ、磯村さん!愛依ちゃんは僕のお姉ちゃんですよ!」



「俺の姉貴だろ!」



頭を下げて頼んでくれた斗志樹。

返しがおかしいみんなだけど、心は温かくなる。

斗志樹に頭を撫でられ、控え目に微笑む。

歯を見せて笑えば、調子に乗る連中だとわかってるから。



「難波主任、お荷物が届きました。今日は花束もありました」



「……ありがとう」 



宅配物を持って来た案内課の人から受け取った花束は、棘が削がれてない薔薇。

ゴミ箱に逆さに突っ込み、上からもう一つの包装された箱を押し込む。

贈り物は気持ちが大事。

だけどこんなものに、気持ちなんてない。