「守優さんだ。今、黒田君を行かせては、君が危ないと仰るんだ。理由は教えて貰えなかったが、僕も署長も黒田君が居てくれた方が嬉しい。本庁に戻りたいようなら、水瀬は僕の同期だ。頼まなくもないんだが……」



「いえ、そのままで結構です」



「ちなみに主任のデスクナンバーを変えさせた事は、守優さんが隠してる事と関係するのかね」



「……それは改めて、ご報告させて下さい」



「わかった」



斗志樹の転勤がなくなった。

どこか嬉しいけど、出世コースから外させてしまったような気がしてならない。

叔父さんを責めるつもりはないが、何故、理由も言わず辞令を取り下げるように言ったのか。

斗志樹は本当に納得してるのだろうか。

かといって、本庁に戻らせたいかと言えば、今は言い切れない。

--プルルル…ッ



「…………」



『僕からの電話だと……難波さん、わかってくれたんだ……。嬉しいよ……。嬉しくて……ハァッ……早くイキそう……』



「――何なんだ、この電話は!!」



名乗らず、スピーカーフォンのボタンで通話状態にし、副署長にも聞かせた。

一区切りのところで通話を終えると、副署長は電話を指差して怒鳴った。

何なんだと言われたらイタズラ電話。

けど臼杵が説明すると、呆れ顔に変わった。