「…………。俺、か……」



神楽の話を聞いた斗志樹は、私の手を握る手に力を込めた。

そんな筈はないと、否定出来るような女ではないのは斗志樹も承知ってとこだろう。



「この写真を撮った日時の小宮刑事のスケジュールを探ってみます。それで白か黒か、概ねわかるでしょう」



神楽はそう言って、「それじゃ」と自分の部署へと戻って行く。



「上手くやれれば良いけど、神楽がヘマしたら最悪な展開を迎えますよね……?」



「わかってても口に出すな。課長も愛依も、考えないようにしてるだけでわかってんだ」



臼杵の正直な発言に、磯村さんが天を見ながら言う。

本当に考えたくなかったのに、脳裏に過ぎった小宮が薄気味悪く笑った顔。

それで研修で習った通りに暴れられたりしたらどうしよう。



「だけど――っ!」



「どうしたのかな」



「副署長。どうなさったんですか」



場が荒れるかも知れない、そう思った時。

副署長がやって来た。

平静を装って出迎える斗志樹。

私たちは立ち上がり、頭を下げた。



「黒田君、決まったよ」



「…………」



「異動はなくなった。そして、籍をこっちに正式に移そうと、山下さんが」



「……山下?」



…叔父さんが関わってるの?