寺院の駐車場に着き、お墓に向かった。

悠呀のご両親は他界していて、墓地数の少ないここで、私以外の車を見掛けた事を不思議に思いながら石畳を歩いてると、誰かが手を併せて居た。

…悠呀の、友達?

でも、その人がすぐに誰だかわかった。

私に気付くと、背を向けて歩き出そうとする。



「課長――ッ!!」



そんな彼を、私は止めた。

振り返ると諦めたように溜め息を吐かれる。

私は花とビールを手向け、線香に火を点けて一先ずお参りをさせて貰う事にした。

課長より、今日は悠呀が優先なんだから。



「どうしてここに?」



立ち上がって課長を見ると、スラックスのポケットに手を突っ込んで、「座って話すか」と言われた。

しかし、ここにはベンチがない。

仕方なしに別々に車へと戻り、インターの出口付近にあった喫茶店に行く事に。

高速に乗ったら、戻りたくなったとしてもUターンするのが大変だから。



「ホット一つ。難波は」



「ホットレモンティーで」



両者断りもなく煙草を取り出し、足を組んで吸う。

これから聞かされる悠呀との関係は、悪いものじゃなければ良いけど。

私は不安と格闘しながらも、課長を見た。