斗志樹が読み上げる詳細にイラッとしながらも、名前を控えた。

自爆してやがるこいつ。

傷害罪として、容疑に掛かってる事を忘れてるのか。



「斗志樹にも謝罪させてやる」



逮捕状を請求する為、書類の準備に掛かる。

電話番号は変えて貰えば良いし、とりあえずこの男を捕まえる。



「姉貴、管轄違うのに勝手な事したら、また水瀬部長に怒鳴られるぞ」



「今まで何もしてへんヤツらが悪いんやろ。手柄だけ持ってかれてたまらんわ!別に部長は悪ないけど、こいつはこっちで捕まえる」



「本当に頑固だな。自分が狙われてるかも知れねぇのに」



「かも、でしょ?だったら優先すべきはこの男」



それに、当初考えてた母親が狙いでつけてるとすれば、私の見に危険が及ぶとは思えない。

だったら元暴走族のこの男を先に捕まえて、電話の男は泳がせておけば良い。

その間に何か情報収集が出来れば、男に対して対処や警告が出来る。

まだまだ始まったばかり。

そんなに急がなくても大丈夫。



「良いよね?斗志樹」



「お前に何もなければな。どうにもお義母さんじゃない気がするが」



「「…………」」



私のデスクチェアーに腰を下ろしたまま、窓から空を見上げた斗志樹。

冬の青空。

雲一つなく、青々としてる。

歳を重ねる毎に1年が早くなる。

…また1年が経つんだね。

悠呀を失った、あの日から……。