電話を切ろうと思ったが、逆探知のスイッチを斗真に入れさせた。



「誰を愛してるの?」



『君だよ、君……』



誠君ではないとわかったのに、このままなのはもう勘弁。

正月早々、何回もたまったもんじゃない。



「君って?」



『……難波さんっ……』



「難波、ですか」



「難波ですが何か」



『…………。難波愛依さんっ……』



逆探知のデータ表を持って来た斗真は、スピーカーフォンにしてあった為、私の隣で名乗った。

誠君は私が結婚したという事だけは知ってる為、益々、電話の主が別人だとわかる。

でも、どうしてネットカフェとかばかり目立つのか。

模倣犯なのか。

電話をぶち切り、今電話して来た場所として出て来たネットカフェに連絡。

防犯カメラの映像提供を頼みながら、怪しい人物が居ないか訊ねる。



『そう言えば先程、男性の喘ぎ声が聞こえましたよ。動画かとも思ってたんですが……』



「そうですか。また後で映像を貰いに行くのでよろしくお願いします」



『準備しておきます』



何が楽しくてこんな事。



「何で私が、顔も知らない男に愛されなきゃいけないの?」



「俺が知るわけねぇよ!けど、考えてみると姉貴がショートカットにしたらモテ始めたよな」



「は?変わんないし」



「それは姉貴が気付いてないだけ」



…気付いてないって言われても……;;

周りの反応は変わってないから……。