冥王星

「以前に、人に暴力をふるったことはあるの?」

「あります。」

「相手は誰?」

「qという男です。」

「お友達?」

「お友達・・・。ひとことでは説明できない関係でした。」

「そう。どんなお方だったのかしら?」

「その、とても手に負えない奴で。
でも俺は愛していました。」

「お亡くなりになったの?」

「そうです。」

「そうだったのね。」

オギ司祭は少し黙した。

「その方とはよく喧嘩したの?」

「しました。しょっちゅう殴り合いでしたよ。」

俺はqのことを思い出して、少し笑いが出た。

「どんなことで喧嘩になったのかしら?」

「まあ、くだらないことですよ。

あとは、そいつといるとみょうに
俺の感情が揺れたんです。
それで手が出るようになって。

それまで俺も霊山の出身ですから、
暴力や暴言をするようなことはありませんでした。

だけど、俺にも、暴力的な要素は
あったということですね。」

「又三郎のことはどう思ってるの?」

俺は照れてしまってへらへら笑った。

「とてもかわいらしい子よね。」

「恋しているんですよ。
くだらないですよね。いい年して。」

「んまあ。いい年だなんて。
あなたまだ若いじゃない。

それにくだらなくなんかない。
とてもステキなことだわ。」

「その、もう、やられちゃって。」

「そうねえ。あの子。
あの年代の男の子、たまらないわよねえ。

あなたは、愛情を暴力で表現する傾向が
あるのかしら?」

俺は考えてみた。
俺が殴ったことのあるのはqと又三郎だけ。

愛情。

「相手が、男の場合、
そういう傾向があるのかも、しれない。」

「そうなのね。」

「あの時、大聖堂が壊れたとき、
かわいそうだったんです。」

「誰がかわいそうだったの?」

「又三郎が。ひどくおびえていて。」

「それで殴ってしまったの?」

「はい。」

「かわいそうなのに殴っちゃったの?」

「おかしいですよね。そんなの。」

「そうねえ。」

「なんか、力を感じてもらいたかったのかな。」

「力?」

「魔法とかじゃなくて、人間の、
俺の、力です。」

「なるほどね。
あなたは、大丈夫ね。ちゃんと自制できる子よ。

だけど、一応、省みの部屋に行ってちょうだい。
7日間よ。」

「わかりました。」