冥王星

大きな音で目が覚めた。

何かが爆発したような音だ。
神経質男もせむしも起きたようだ。

俺は下段のトラビスをのぞき見た。

「なんの音だ?」

トラビスは体を起こしていた。

俺はベッドから飛び降りた。
足は自然と又三郎の寝室へ向かっていた。


その部屋には三人の男たちが倒れていた。
そして又三郎が突っ立っていた。
自分自身で、事態が解っていないかのようだった。

倒れている男のうち一人は頭を割られていた。

駆けつけたニコルが急いで回復魔法をかけた。
外傷はふさがれたが、男は意識がもどらない。

ニコルに続いて、トラビスがその男に
回復魔法を施した。
するとやっと、男はうなり声をあげ、
意識をとりもどした。

ほかの二人の怪我は軽傷でニコルが治した。

倒れていた三人の男と又三郎は
ニコルから事情をきかれた。

又三郎の目は俺に助けを求めていた。

ふと、俺の隣にいたトラビスが、
又三郎を食い入るように見つめているのに気づく。

「又三郎。僕は子供の頃から知っているが、
美しくなった。」

トラビスまでもがこんなことを言い出す。

「何が起こったんだ。」

ニコルが男たちと又三郎に問いただした。
ニコルはきっと解っているはずだ。
又三郎が子供の頃、
いたずらしようとした寮父が大怪我を負った
そのことと、同じことが起きたと思われる。

「貴様らが、自分から俺に話さなければ、
何の意味もないんだぞ。」

ニコルの声は非常にきびしかった。

「この人たちが、僕の口をふさぎ、
乱暴なことをしてきました。
そしたらこの人たちは怪我をして
たおれました。」

又三郎が言った。

「又三郎の言っていることに
間違いないか?」

ニコルは男たちに言った。
男たちはうなだれている。

「少年宿舎からあたらしく若い修道士が
移ってきたのに、
俺の監督不行き届きだったんだ。

すぐに、副院長さまに報告しよう。」

ニコルは男たちと又三郎を部屋から連れ出した。
又三郎は去るとき、
俺を見て声にならない叫びをあげていた。

俺は又三郎の肩をつかんで言った。

「大丈夫だよ。ありのままを話せばいいだけだ。」

トラビスが俺に言った。

「今の又三郎は不思議に男たちを狂わせるな。
均衡を乱す存在だ。」

「あいつにはいかれちまう。」

俺は小さな声でつぶやいた。

「おたく達、男同士で何やってんの?
変態か?」

野次馬の中のせむしが言った。

「今はおまえが一番冷静だよ。」



結局、懺悔のあと、ニコルは一日、
又三郎を襲った男たちは一ヶ月間、
省みの部屋、という場所に入れられた。

又三郎はおとがめなしだった。