「ここにお客さんが来るのははじめてだよ。」
「いい家だな。ちょっと狭いけど。」
「子供の頃はちょうどよかったんだけど、
僕がでかくなちゃったから。」
「そうだなあ。」
又三郎の秘密の隠れ家に招待されて、
俺の胸は躍った。
すぐとなりで又三郎の息遣いが聞こえる。
「これ、見てよ。」
又三郎は一つの封筒を取った。
その中からはきれいに装飾された
カードが出てきた。
つばめが手紙を運んでいる絵が
描かれていた。
それらは水色や桃色の光る
細かい砂で彩られていた。
「アイリスの結婚式の招待状だよ。」
「アイリスって誰?」
「僕のお姉ちゃんだよ。」
「へえ。そうか。
おまえには実家があるんだもんな。」
「この前、アイリスの結婚式に行ったよ。
とってもきれいだった。
うらやましかったな。」
「姉さんは、おまえに似てる?」
「うん。みんなに笑われるほど
そっくりなんだ。同じ顔だって。」
「じゃあ、すごく美しい人なんだろうな。」
又三郎は下をむいてうれしそうにしていた。
とてもかわいらしかった。
「僕はアイリス大好き。
ここへ入れられるとき、お父さん、お母さんと
離れるより、アイリスと離れるのが
悲しかった。」
又三郎は葉書の束を出してきた。
「これ全部、アイリスから来たんだ。」
それらの葉書には全部美しい細工が
施されていた。
俺は狭い空間に一枚一枚、
葉書を並べていった。
立体的に浮き彫りにされたバラの花。
黄緑色を主体としたクローバーの絵。
マーガレットの花畑の向こうに広がる
田園風景。
姉が、離れて暮らす弟を想い、
楽しみながら絵葉書を選ぶ光景が
目に浮かぶ。
「読んでもいい?」
「いいよ。」
葉書にはごく短い日常の生活を
つづった文章があった。
「姉さんが結婚しちゃって、
寂しいかい?」
「そんなことないよ。
アイリスが幸せになるのはうれしい。
だんなさんもかっこいい人だったし。」
「そうか。」
又三郎の美しさは、見目形ではない。
繊細で、こわれやすい、かわいらしいものを
愛する素直な心が、
内面からあふれ出ているのだ。
こんな人間が、強大な魔力を持っているとは。
なんだか似つかわしくないように思う。
「僕もよくアイリスにカードを書いてるんだ。
ミゲーレのことも書いたよ。」
「なんて書いた?」
「秘密だよ。」
胃の腑をくすぐられるような心地になる。
「いい家だな。ちょっと狭いけど。」
「子供の頃はちょうどよかったんだけど、
僕がでかくなちゃったから。」
「そうだなあ。」
又三郎の秘密の隠れ家に招待されて、
俺の胸は躍った。
すぐとなりで又三郎の息遣いが聞こえる。
「これ、見てよ。」
又三郎は一つの封筒を取った。
その中からはきれいに装飾された
カードが出てきた。
つばめが手紙を運んでいる絵が
描かれていた。
それらは水色や桃色の光る
細かい砂で彩られていた。
「アイリスの結婚式の招待状だよ。」
「アイリスって誰?」
「僕のお姉ちゃんだよ。」
「へえ。そうか。
おまえには実家があるんだもんな。」
「この前、アイリスの結婚式に行ったよ。
とってもきれいだった。
うらやましかったな。」
「姉さんは、おまえに似てる?」
「うん。みんなに笑われるほど
そっくりなんだ。同じ顔だって。」
「じゃあ、すごく美しい人なんだろうな。」
又三郎は下をむいてうれしそうにしていた。
とてもかわいらしかった。
「僕はアイリス大好き。
ここへ入れられるとき、お父さん、お母さんと
離れるより、アイリスと離れるのが
悲しかった。」
又三郎は葉書の束を出してきた。
「これ全部、アイリスから来たんだ。」
それらの葉書には全部美しい細工が
施されていた。
俺は狭い空間に一枚一枚、
葉書を並べていった。
立体的に浮き彫りにされたバラの花。
黄緑色を主体としたクローバーの絵。
マーガレットの花畑の向こうに広がる
田園風景。
姉が、離れて暮らす弟を想い、
楽しみながら絵葉書を選ぶ光景が
目に浮かぶ。
「読んでもいい?」
「いいよ。」
葉書にはごく短い日常の生活を
つづった文章があった。
「姉さんが結婚しちゃって、
寂しいかい?」
「そんなことないよ。
アイリスが幸せになるのはうれしい。
だんなさんもかっこいい人だったし。」
「そうか。」
又三郎の美しさは、見目形ではない。
繊細で、こわれやすい、かわいらしいものを
愛する素直な心が、
内面からあふれ出ているのだ。
こんな人間が、強大な魔力を持っているとは。
なんだか似つかわしくないように思う。
「僕もよくアイリスにカードを書いてるんだ。
ミゲーレのことも書いたよ。」
「なんて書いた?」
「秘密だよ。」
胃の腑をくすぐられるような心地になる。

