冥王星

回廊のすぐ脇の食堂で、トラビスと座っていた。
まだ朝食の時間には早く、誰もいなかった。

「彼女は、自分だけの秘密の場所を持ってたよ。
使ってない家の納屋だった。

そこには、いろんな、高価なものが置いてあった。
自分の家に持って帰ると、母親が売ってしまうから。」

「たぶん、あの子は男と寝たら金をとるのが習慣になってるんじゃないか?
小さな頃からそういうふうに仕込まれてるんだから。」

まさか、マリアがトラビスから金を取るとは思わなかった。
ゆうべ、通用門で見たマリアの姿は純粋にトラビスを思っている少女だった。

(女って怖いね。)

トラビスがマリアと関係を持ったことに関して、
俺が背中を押した部分は大きい。

俺がいなくても、遅かれ早かれ、
こういう事態にはなっていたかもしれないが。

完全に、俺は余計なことをした。
トラビスが俺に敵意を持ったとしてもおかしくない。

トラビスは背を丸くして何もない眼前を見ていた。
髪の毛はぼさぼさ、髭も生え始めている。

あの、最年少の助祭として、人々に聖体を授けていた
天使のような姿はどこにもない。

トラビスの、信仰という土台が崩壊した。

「とりあえず、着替えてきたほうがいいんじゃないか?」

俺が言った。

「ああ。」

そうっと、オカリナを吹くかのような声を発し、
トラビスは自分の部屋へ行った。