冥王星

そのあとは夕餉。
ひとつ気が付いた。

オーベール師も共に食卓に着いたが、
師は何にでもマヨネーズをかけて食べる。
マヨネーズが大好物らしい。
たしかに旨いものだとは思う。



夜は祈りの時間だった。

祈りの方法は各自にゆだねられていた。
聖堂で、祈りを唱えるもよし、静かに神との対話を試みるもよし、
また、回廊をめぐり、瞑想するというものもあった。
あるいは、同胞と信仰について討論を交わしたり、
年長者に教えを請うこともできた。

俺は回廊に出てみた。
回廊はまるで空中庭園だった。

食堂の屋根の上の一部が回廊になっており、
決して広くはない。

しかし無数の柱が連なりまるで無限のような空間を演出していた。

ゆっくりと回廊をめぐってみた。
海に面した側で、壁が無い部分があった。

一応細い鉄柵はあるものの、錆び付いていて心もとない。
俺は海に向かって立った。

夜の海。
以前、道化師としてここへ来て、
団長にサーカスを辞めたいと打ち明けたとき、眺めていた海だ。

視線を少しずつ、足元に移していく。
するとミカエル山の山肌が見えた。

ここは断崖絶壁だ。
急に玉袋が縮み上がる。

そのとき、背中をどつかれた。

「うわあっ!!」

みぞおちがふわっと持ち上がった。

ふりかえるとせむしがけたけた笑っているではないか。

「おまえ、今落ちそうになったんだぞ。ふざけんなよ。」

「あははは!!ミゲーレ本気であせってやんの。」

せむしは心底おかしそうに笑っている。

「うるさいぞ。貴様ら。」

ニコルが現れた。
またこいつか。

「貴様ら、ここがどこかわかっているのか?
遊び場じゃないんだぞ。」

「すまない。そうだな。ここは神聖な場所だ。」

俺は詫びを入れたが、せむしはふてくされた顔をしただけだった。

ニコルが行ってしまうと、せむしは愚痴を言い始めた。

「むかつくんだよあいつ。ちょっと出来がいいからってよ、黄色い猿じゃねえか」

と言ってから、俺を見て、せむしはものすごい勢いで青ざめた。

「ご、ごめんよ。ミゲーレのこととちがうから」

そのあせり具合が尋常じゃないもので、俺は笑ってしまった。

「いや、全然。俺まったく気にしてないから。大丈夫。大丈夫。」

ロマリアには本当にいろんな種族のものがいた。
その間には差別偏見もたくさんあった。
そんなことを数え上げていったらきりが無い。

「それより、ニコルって何者なんだよ?」