冥王星

俺は娼館の扉を叩いていた。
しかし返事はない。

この時間ならヴェロニカは
眠っているはずだ。

しつこく扉を叩き続けた。

やっと少し扉が開いた。

「あら、ミゲーレじゃない。
何の用なの?こんな時間に。」

俺は財布から
12枚の紙幣を取り出して
ヴェロニカに突き出した。

ヴェロニカは黙って
俺を娼館に入れた。

「今は営業時間外よ。
それにルイーダをとおしてくれなくちゃ。

だけど、ミゲーレは男前だから
特別よ。」

以前に、
トラビスに対して8要求していた。
12なら時間外営業
してくれてもいいと思う。

「あなた、なんなのその格好は。
ローブはどうしたのよ?」

「あんなもんを着て
真昼間にこんなところへは
これないだろ。」

「そうね。
どうしたっていうのよ。
あなたがこんなことするなんて。」

「服を脱いでくれないか。」

ヴェロニカは言われたとおりにした。
すぐに挿入した。



女の肉は確かに
気持ちがいいものだと思う。

だが、いつも思う。
娼婦との交接はつまらない。

相手にこちらを求める気持ちが
まるで無いからだ。




射精し終わると、ごろんと横になった。
ただ、ヴェロニカの部屋の
天井にかかるシャンデリアを
見ていた。

小ぶりだが、凝ったつくりで
花の形をしていた。

俺はさっさと服を着て、
帰ろうとした。

「大枚はたいたんだから、
少しゆっくりしていけば?

今お茶を入れるわ。」

ヴェロニカは服を着て、
茶器を持ってきた。

「共同体の中で
生活する方は気苦労も
多いんでしょうね。

ここにいらっしゃる方は、
精液だけでなく、
心の澱も吐き出していくわ。」

茶葉を蒸らしながら
ヴェロニカはこんなことを言った。

「私はここで聴いたお話は、
その場でおしまいにするの。

だから何でも話して大丈夫よ。」

「はは。」

俺の笑いには精が無い。

ヴェロニカは
苺の実と花がかたち作られた
カップに茶を注いだ。