「………『天の息吹』ってのはな……まぁ簡単に言うと………俺達に対する、神様からの…………警告だ」
―――警告?
「……警告さ。愚かな人間への。………アレスの書の通り世界の均衡が保てず、回復するどころか崩壊への一途を辿っている時………天にアレスが現れる」
「……アレスが?」
「ああ。言い伝えでは、アレスは銀の獣の姿で空を飛来する。………鳥だとか……ドラゴンだとか…」
―――…ドラゴンって何だろう。
キーツの脳裏に摩訶不思議な生命体が出来上がっていた。
「その獣の姿のアレスが、馬鹿でかい鳴き声をあげる。………すると、雲よりも高い天に………銀の、神の文字が浮かび上がる。………内容ははっきりとは分かっていないが………とにかく…世界崩壊の予告、カウントダウンが書かれているらしい。過去に一度あったとか無いとか…」
………そんな事があるのだろうか。
キーツは首を傾げた。世界崩壊の予告……予兆……神の怒り。
「………本当なら…天の息吹が現れるのも、時間の問題だな…」
オーウェンは鼻で笑い、踵を返して塔から出た。

