絶対、逃がさない!②(短編)

 福田さんと、理佳さんのお弁当ちっちゃい。あれでたりるのかな?

 授業中、おなかすかないのかなぁと思っちゃう。

 それに、福田さんのお弁当は、海老原の弁当のミニチュア版で、どうみても同じ料理人(?)がつくったと、一目瞭然でわかってしまう。

 それに気がついたのか、理佳さんが、ふふふと意味深に笑いながら、聞いた。



「それにしても、陽菜。海老原くんにお弁当つくってあげたんだね。

 いつの間に、そういう関係になったの?」

「そういう関係?」



 不思議そうに、陽菜さんが小首をかしげた。

 肩に乗っていた髪が、さらりと背中に流れた。



「だってお弁当作ってあげるなんて、意味深よ」



 気がつくと、黙々と食べていた海老原も、福田さんが返す答えが気になるのか、箸を止めた。

 きょとんとして、またたきする彼女。



「お弁当? だって、理佳にもつくってあげることあるでしょ?

 私、料理作るのすきだもん。

 それにね、光くん、いつも学食で、夜はコンビニ弁当、朝はレトルトとかいうの。

 私のお弁当と交換してもいいから、手作り食べたいっていうの。うまれてこのかた手作り弁当食べたことない、一度でいいから、食べたいって---おおげさだよね」



 いや、おおげさじゃないかも。

 以前、海老原の家とまりにいったとき、夜はすしの出前が出てきてすっごいうれしかったけど、翌朝、冷凍のピラフが出てきて、ちょっとびっくりしたことがあるから。