絶対、逃がさない!②(短編)

「あの~、もしもし」



 声をかけた瞬間、ぎろっと、邪魔すんなといわんばかりに、海老原に睨まれたが、そんなことくらいじゃ、おれはくじけないぞ。

 だって、一年男子の憧れ、福田陽菜さんとお知り合いになるチャンスなんだ。これを逃したら、おれは男として、生存競争(!?)に負けてしまう。

 

「あの、このすばらしいお弁当って、福田さんが作ったんですか?」



 おれが問いかけると、福田さんはおれのほうに顔を向けた。



「え? はい。そうですけど?」



 綺麗な顔だなぁ。雰囲気はかわいい感じ。近い将来、美少女から、ものすごい美人になること間違いなしだ。美少女、美人、綺麗なお姉さん、大好きなおれが保証する。

 まじまじと、くいいるように見つめてしまう。

 陽菜さんが顔をひきつらせた。そんな顔もかわいい。

 そんなおれに気がついて、遠慮なく、海老原がおれの頭をたたいた。



「おまえ、じろじろみんなよ。こわがってるだろ?---陽菜、こいつは佐藤要・・・」



 ここで、いったん、言葉を区切った海老原。おまけのように、付け加える。



「いちおう、おれの友達」