絶対、逃がさない!②(短編)

「意味、よくわからないけど、そうだよな。ーーーあれ?」



 海老原が首をかしげた。包んでいた布や、ふたを持ち上げてみたりしている。

 でもやはり目的のものは見つからないようで、海老原はくすっと笑った。



「・・・これだけ、すごいのつくってくれておいて・・・なんで、割り箸いれるのわすれちゃってるかな」

「なになに? ハシないわけ? 食堂のおばちゃんに、もらってくればいいよ」

「そうだね」

「なんなら、メシのお礼に、おれがもらってくるよ」



 おれは手をついて、立ち上がったが、ぺたんと、また椅子に座りなおした。

 だって・・・だって、気がつくと、おれたちの座ったテーブルのそばに、福田陽菜さんが遠慮がちに立っていたからだ。

 恥ずかしそうに、下を向いている。
 


「あ、あのね、ごめんね、光くん。お箸、私のほうにふたつともいれていたみたいで」



 いいながら、可愛いチェックの箸袋に入った割り箸を海老原に差し出す。