スプーンを口にくわえて、うっとりとする佐藤は、はっきりいって、気持ち悪い。

 おれは無視して、食べ続ける。



「ああ、お姉さま、どこでカツカレー食べてるんだろ? 人多すぎてわかんねぇ。

 まさか、ふた皿も食べていないよね。

でも、そのありえないところも、素敵かも」



 いいながら、きょろきょろと周囲を見回す。

 すぐに、あっと声をあげた。



「うわ、綺麗だな。あ、でも、あの危なっかしいしぐさもいいなぁ、可愛い。可愛すぎる。

 福田陽菜(フクダ ヒナ)さん」

「ーーー!」



 おれはがばっと顔をあげた。