おれは陽菜の二の腕をつかんで、立たせた。 ーーー軽い。 ふわっと、柑橘系の石鹸の、香りがした。 「やだ。顔見ないで、泣いているし、ぐちゃぐちゃだから」 「そんなことない」 泣き顔も、怒った顔も、笑った顔もーーーぜんぶ、ぜんぶ、好きだ。 おれは、涙でぬれた陽菜の目じりにそっとくちづけた。 しょっぱい味がした。 「まじでかわいいーーー陽菜」 いいながら、ぎゅっと抱きしめる。 力をこめすぎないように、そっと・・・包み込むように。 「もう、泣くなよ」 おれはそっと、そういった。