絶対、逃がさない!②(短編)


「おまえ? わからない、ほんとうに、おれの気持ち?」



 声が低く、のどの奥から、かすれるように出てきた。

 

「ひ、光くん?」



 おれのただならぬ様子に、陽菜はおびえたように背中の扉に身をよせた。

 その、態度がおれをますます、止められなくさせた。

 

 逃がさない。逃がしたくない。好きだから。

 たとえ、嫌われていても、それでも、陽菜を失いたくない。

 おれに縛り付けてでも、逃がしたくはない。

 なんで、おれの気持ちをわかってくれないんだろう?

 

「にぶいにもほどかあるぜ?

 本当に、全然、わからない?

 それに、いじめっこってなに? おれ、それもうやめたつもりなんだけど。

 ---それとも、いじめてほしいのか?」




 おれは手をのばして、陽菜をつかまえた。

 頬を押さえて、そのまま、顔を動けなくして、キスをした。


 
 最低な、キスだ。