絶対、逃がさない!②(短編)

 
 ゴールの左隅に、弧を描いて、鋭くボールが吸い込まれていった。

 なんだかんだと、口では、あほなことをいっても、佐藤はサッカーはうまい。

 中学まではずっとサッカー部だった。三年のときは主将。

 おれはグランドの端で、春の強風にあおられながら試合を見ていた。

 二クラスで四チーム作っての、ミニゲームをしている。

 ちなみに六、七組に数少ない女子はテニスコートでテニスをしている。きゃあきゃあと騒ぐ声が楽しそうだ。



 おれの出番は次だ。

 勝った方のチームと、戦う。

 この様子なら、佐藤のいるチームと戦うことになるかな?

 おれの守るゴールにいれてやるとかいっていたが、おれはキーパーにはえらばれなかった。

 選ばれても、いやだけど。おれはその場にじっとして守るより、走っていって攻撃するほうが好きだ。



「すごいね、佐藤。また、決めた。

 彼がサッカー部を作ろうとしているの、知ってる?」



 いつの間にかおれの横にきていた、長岡がそういった。



「ああ」


 
 おれはうなずいた。