ゴールの左隅に、弧を描いて、鋭くボールが吸い込まれていった。
なんだかんだと、口では、あほなことをいっても、佐藤はサッカーはうまい。
中学まではずっとサッカー部だった。三年のときは主将。
おれはグランドの端で、春の強風にあおられながら試合を見ていた。
二クラスで四チーム作っての、ミニゲームをしている。
ちなみに六、七組に数少ない女子はテニスコートでテニスをしている。きゃあきゃあと騒ぐ声が楽しそうだ。
おれの出番は次だ。
勝った方のチームと、戦う。
この様子なら、佐藤のいるチームと戦うことになるかな?
おれの守るゴールにいれてやるとかいっていたが、おれはキーパーにはえらばれなかった。
選ばれても、いやだけど。おれはその場にじっとして守るより、走っていって攻撃するほうが好きだ。
「すごいね、佐藤。また、決めた。
彼がサッカー部を作ろうとしているの、知ってる?」
いつの間にかおれの横にきていた、長岡がそういった。
「ああ」
おれはうなずいた。


