「気をつけてね」

そう言って静かに微笑む、お母さん。

「お母さんも今日お仕事だよね?気をつけてね」
「ありがとう」

お母さんはもう一度、微笑んだ。

「じゃ、行ってきまーす」
「行ってらっしゃい」


傘を持って走るのは、けっこうキツイ。
でも走んなきゃ、バスに間に合わない。

バスはもうバス停に着ていた。
ひたすら足を動かすと、なんとか間に合った。

「…セーフ」