名前の無い物語










そんな光景を見ながら
語り部はフッと笑う



今回の旅で、手に入れたものも
失ったものも多いだろう

彼等にとっては、必然な旅だった

自身が抱えていた闇を取り払う為に…彼等にはこの旅が必要だった



そして…記憶を失うことで、また変わらない日々に戻ることだろう



だけど…



「変わったものも、たくさんある…。」



球体のなかに映った、友達に囲まれながら笑う吉野の姿

それを見て、語り部はそう思った


それに、例えあの旅を忘れてしまったとしても



心に眠った記憶はきっと…いつか甦る


「…物語を、閉じます。」


その語り部の呟きは
静かに消えていった