名前の無い物語









登校中の生徒で賑わう校門前
少年はのんびり歩いていた

誰も少年には干渉せず
少年も誰にも干渉しない


それが当たり前だった

彼には『友達』がいない


そう、その筈だった


「よう、滝川!」


その声に
少年は振り返る

視線の先には
数人のクラスメート

「長瀬…後藤。」

彼等は笑顔を浮かべた


「おはよう、滝川君。」

「お前と朝から会うのは初めてだな。」


その言葉に
少年は苦笑いを浮かべる


自分に『友達』は居なかった


けど、今はコイツらがいる


何がキッカケだったのか…それは分からない


「なぁ滝川!お前菊池のことどう思ってんだよ?」

「んだよ急に…。」

ガシッと肩に腕を回して話す少年
そんな彼に…少年はどこか嬉しそうだった


そんな光景を見ながら
少女は「…良かった。」と一人呟いた