名前の無い物語


四人の視線は
語り部に向かう

「この冒険の記憶は…君達の心に眠るだけ。完全に消え去ったりはしない。

だからきっと、何かのキッカケがあれば…もう一度また、巡り会える。」


心に眠る記憶

もし、何かキッカケがあって


全てを、思い出せたなら…


「…また、皆に会える。」

ポソリと呟いた吉野
どこか嬉しそうで…希望が籠った声

それは奇跡に近い出来事
けれど…信じていれば、必ず叶う

そんな気がした


「…答え、決まったな。」

海の声に
三人はゆっくり頷く


信じる心の強さは
誰よりも…知っている


語り部はパチンと指を鳴らす
すると、1つの扉が姿を現した


「この扉の向こうに…ポッドに繋がる部屋がある。これで、君達は元の世界に帰れるよ。」


現れた扉に
吉野達は覚悟を決めた


「…ありがとう、語り部。」


吉野が告げたその言葉に
ようやく語り部はニコリと笑う


「…お休みなさい。」

語り部のその言葉と同時に
ギィと扉は開いた