名前の無い物語


理解出来なかった

いや、したくなかった


「記憶を、抹消…?」ようやく出た声は
やっぱり震えていて


「そう。」否定が欲しかったところを
語り部は頷いていた

「え、てか…そんな事したら…!」

「二宮君の想像通り。出会い、別れ、悲しみ、喜び…この冒険で有ったこと、更に…君達の事も全て、忘れてもらう。」


誰も言葉を発しなかった
ただ、ドキンと心臓の音だけが速くなっていた

「ふざけんなよ!そっちが巻き込んどいて、終わったら全部忘れろなんて…!」


「これは世界の規約なの。世界間が干渉することは避けなければならない。世界の存在は企業秘密。だから、君達も忘れなければならない。

世界の、理の為に…。」


「っ…。」空は言葉を詰まらせた
世界の事はよく分からないが
何となく、そう感じ取った


「残念だけど、君達に選択肢は無いよ。これも、世界の為だから…。」

語り部の言葉が
他人事のように頭にこだました


世界が平和になったのに

こんな終わり方って…!


「…分かった。」