名前の無い物語









「…バカだな、俺も。」

「空…?」

何かを悟ったように笑う空を見て
柚歌は首を傾げた

「傑作だ…まさか、アイツにアイデアもらう日が来るなんて…。」

「え…?」


アイデア…?


「柚歌。」

ギュッ、と柚歌の腕を握る空
向けられた瞳には、迷いの無い強い意思


「これから言うこと…よく聞いて欲しい。」


空の中に浮かんだ新たな案

これ以上の策は無い程の…完璧な案


だけど失敗すれば、どうなるかは分からない神頼みの案


信じれば


信じれば…必ず成功する



「フン。」

たったの一振り
それだけで、海の攻撃は弾かれてしまう

チッ、と舌打ちを吐いた

さすがは元ソードマスターなのか
剣による攻撃の威力は半端無く強い

だけど…こっちもやられっぱなしという訳にはいかない


「‘絶空’!」

間合いが詰まった、この距離で
海は自身の後ろに能力を放つ

その反動で、勢いよく鎖邊の下に飛ばされる

ギィン、これまで以上の音が混じりあった


「海!」