名前の無い物語


あの力なら
当たれば…相手がなんだろうと倒せる

頭に浮かんだ、校庭に広がっている血の海
赤に染まって倒れている…たくさんの人々

瞬間、空の手が震えた
その手をギュツと強く握る


…大丈夫だ
ここにはそんなに人はいない

海と柚歌を無事に離れさせれば…


「…!」

ギリギリと剣を交じり合っている海の鎖邊
必死に耐えている海に対して
鎖邊は涼しい顔を浮かべていた


クソ…まだ余裕ってことかよ…

痛む腕に海は顔を歪める

海に視線を向けている鎖邊の背後に
柚歌は間合いを詰めていく

「’四重奏‘!…ーー!」

放った技は
目の前で鎖邊に止められた

「…っ!」

「学ばぬようじゃのう。敵わぬと言っておるのに。」

息1つ切らしていない鎖邊に、海と柚歌は表情を曇らせる

…どうすれば…!


「海、柚歌!!」


「「!?」」突然届いた空の声に、二人は視線を向けた


「後ろに飛べっっ!!」


何か分からないまま、二人は咄嗟に後ろに飛ぶ
瞬間、鎖邊の下に一閃の光が物凄い早さで向かった


…何じゃ、この力は?


一瞬、視界が光に包まれた