「え?」伊織は顔をあげた
陽斗の言葉の意味を
すぐには理解出来なかった
「同期の奴に教えてもらったんだけどさ…。禁断の森の奥深くに、全てを清める泉があるらしい。
そこに行けば、俺の心の闇が消せるかもしれないって…。」
全てを清める泉…!?
禁断の森というのは、この町の近くにある魔物が住む森
容易な気持ちで入れば、すぐに殺られてしまうという危険な森
その奥に、そんな泉が…
「俺、その泉に行こうと思うんだ。そこで闇を完全に消す。本当の光の心を持って、もう一度就任試験を受け直す。
その頃にはきっと、吉野も就任試験を受けるだろうな。
俺と吉野は同期になっちまうけど。」
「それは嫌だなぁ。」と陽斗は頭を掻いた
伊織は何も言わなかった
いや、言う事など何も無い
陽斗は夢を諦めてなどいない
夢を叶えるために…辛い道を歩き出そうとしてる
これはきっと…前に進んでいるのだ
「だから、伊織。 俺、マスター就任を辞退するよ。」

