名前の無い物語


ここはガーディアンの町

ここには無数のガーディアンと、管理人の七菜一人
そう聞いた時には、寂しくないのかと疑ったけれど

やっと分かった
こんなに、優しい心が溢れた町はきっと地上には存在しない


「私は地上に行ったことがないのでわからないんですけれど…『海』というものは、聞いたことがあります。」

『海』

その言い方さえも
華にソックリだった

「見たことはないのですが…とてもおおらかで、壮大な美しいものだと伺っております。

きっと貴方は、その名の通り良い人なのですね。」

んー、と伸びをする七菜の隣で
海は悲しそうに俯いた

『海』

広く、何もかも包み込むおおらかなもの


「…俺は、そんな良い人間じゃない。」

「え?」七菜は首を傾げた


「…俺は、前に仲間を殺した。」