名前の無い物語


その言葉に、場の雰囲気は変わった

誰もが、最悪のシナリオを頭に浮かばせる


「恐らく、その友達が殺されるのを黙って見てはいられなかったのでしょう。『間違ってる。』とハッキリ私たちに告げて…地上に降りたって行きました。」

「じゃあ、娘さんは…。」

もう、死んでる?


「私達は最後まで希望を持ちました。地上のどこかで、必ず生きていてくれると。

話は戻りますが、貴殿方人間にはその事件は遠い過去の事…。恐らく、天界が繋がりを断った瞬間、2つの世界の時の流れが変わったのでしょう。

皆さんには遠い昔の事でしょうが、私達天使にとってはまだ十数年程しか経っておりません。」

誰も言葉を発しなかった

悲しそうに言う箙に対して、どんな言葉を、かけたらいいか
彼等には分からなかった


「地上で生きていたら、娘はとっくに死んでいる。そう悟って今まで生きてきました。

貴方から…娘の波動を感じるまでは。」