名前の無い物語


海の言葉に、箙は一瞬目を丸くしたが
「やはりそうですか。」と納得したように呟いた

「やはり、時の流れは変わっていたか…。」

「箙さんは、何か知ってるんですか!?」

一瞬身を乗り出す海
それを咄嗟に柚歌が抑えた

「…悪い。」我に帰った海は、もう一度椅子に座り直す

何故だ?

共存していたという事実以外、その時代については何も残っておらず未だに解明されていない筈

天使が天界に去ったキッカケも、この時代の風潮も謎に包まれている筈なのに

何故この人は、その事件を知っている…?


「簡単に、ご説明しましょう。」箙は何かを決めたように
口を開いた

「全ては語れません。真実は貴方達人間の手で手に入れるべきですから。」

「…上等だ。」

海の顔つきも真剣さが増す

今まで謎に包まれていた部分が
少しでも、解明される…!


「我々3つの種族は、平和に地上で共存しておりました。天使達にとって地上は…子供に行かせる留学みたいな感覚でしてね。

そんな平和な日々が、ある日を境に崩れ始めたのです。」