名前の無い物語


深々と頭を下げる男
それに対し、吉野達は戸惑いの色を見せた

「いやその、俺達も戦いなんて望んでなかったし…助けて戴いてありがとうございました。」

海の言葉を合図に、彼らも頭を下げる

実際、吉野が走り出さなければ反撃をしていたのは事実だし
これからの事も考えて、面倒くさい事にならずに済んで良かった

「けど、何故彼らはいきなり私達を襲ったのですか?何か悪い事でも…。」

柚歌の問いに、男は悲しそうに笑みを浮かべてテーブルへと促した

「立ち話もなんでしょう?どうぞ、お掛けください。」

少し警戒しながらも、吉野達は順に椅子に腰掛ける
彼らの目の前に、男は座った

「申し遅れましたが、私は箙と申します。役職も持たない只の平天使ですがね。」

箙の言葉に、吉野達も名を名乗っていない事に気付く
それから順番に自己紹介を済ませた

「まず最初に、以前…3つの種族が地上で共存していたのはご存じですか?」