名前の無い物語


何を言われているのか分からなかった


「何を…言ってるんだよ?」

余りに理解出来なくて
吉野の言葉は震えていた


「異空の回廊を通れば、さすがに博士でもすぐに吉野の気配は追えないわ。
これしか…あなたを護る方法は無い。」


「ふざけんなよ!俺を…護る?俺だって戦える!伊織と陽斗と力を合わせれば、大丈「ふざけないでよ!」

突然の伊織の怒鳴り声に
吉野の体は一瞬震えた

今思えば
伊織に怒鳴られたのはこれが初めてだった


悲しそうな顔をしながら
伊織は優しく吉野を抱き締める


「伊織…?」

微かに聞こえる嗚咽

もしかして…泣いてるの?


「博士の狙いは、あなたなの。あなたが博士に捕まらなければ…私達の希望は未来に繋がる。

お願い、分かって…。」


博士の狙いは、俺…?


次々と現れる予想外の出来事に
もはや吉野の頭はパンク寸前だった


俺が狙われてるから
師範も、陽斗も…俺から博士を遠ざけようとして…?



「おや、お取り込み中だったかのう?」