名前の無い物語


陽斗の叫び声が聞こえた瞬間
吉野と伊織の目の前で、魔法が激突している

何故自分達は無事なのか…

それは、咄嗟に陽斗が結界を張ってくれたおかげ


「陽斗っ!」

この魔法の威力は自分達の桁違い
それくらい吉野達には簡単に読み取れた

ジリジリと、少しずつ圧され始める陽斗

チッ、と陽斗は舌打ちを吐いた


「迷ってる時間はねぇ…。逃げろ、吉野っ!!」

陽斗の声が合図だった

伊織は何かを決めたように、ギュッの拳を握る
何が起こっているか分からない内に
伊織は吉野の腕を強引に取って
そのまま出口に向かって走り出した


「!?伊織っ!」

どれだけ止まりたくても
伊織の勢いを吉野は消すことは出来なかった


「離せ伊織!陽斗が…陽斗がっ!」