名前の無い物語


その言葉で、二人は無意識に悟った


師範は…殺られた、と
鎖邊に負けたんだと…悟ってしまった


只一人
吉野だけが…何が起きているのか分からなかった


師範?

師範が…どうかしたのか?


「…伊織、吉野を連れて逃げろ。」

「っ、陽斗!」

「…!?」

突然の言葉に
伊織は陽斗の肩を掴んだ

何も分からない吉野でも
一瞬頭が真っ白になった


「師範が殺られた今…アイツと戦えんのは俺達だけだ。

俺が時間を稼ぐ。だから吉野を頼んだ。」

「無理よ!師範でさえも殺られたのよ!?陽斗一人じゃ敵わないわ!」


本能的に伊織には分かった
このまま放置すれば、陽斗は必ず鎖邊に殺される

そんなの…黙って見過ごす訳にはいかない

陽斗は構えを解くと
肩に置かれている伊織の手を握った


「忘れたのか?俺達の任務は…吉野を無事に逃がすこと、それだだろ?」

「っーーー!」