名前の無い物語


一瞬だった

陽斗のそんな声が聞こえた瞬間、耳に届く爆発音
何が起こったか吉野にはまるで分からないまま、ある事だけは理解出来た


何で自分は無事なのか
それは、陽斗が間一髪吉野の頭を押さえ込んで伏せさせたのと
伊織が張った結界のおかげだと


さっきまで手にしていた花束が宙に舞う
そして…周りの温度差で一瞬にして燃え尽きていった


「何…?」

何が起きている?

吉野の頭は真っ白のまま
近く付いてくる1つの影に、視線がいっていた


カツ、カツと響く靴の音
徐々に構える陽斗と伊織

煙の中から現れたのは
無傷の…鎖邊だった


「博士!」

「もう追い付いてくるなんて…。」