名前の無い物語


「師範!?」思ってもいない言葉に
二人は驚きを隠せなかった


「鎖邊の狙いは吉野だ。奴に吉野の心を渡してはならん。
私がここで奴を足止めする。その間に、お前達は吉野を外へ連れ出せ。」


「危険過ぎます!相手も師範と同じマスターですよ!?何かあったら…。」

何か

その何かが、起こる筈はないと思う反面
嫌な予感が絶えず襲ってくる

二人は、そう感じていた


「私達の事は案ずるな。お前達は、吉野の事だけを考えていろ。」


「師範…。」二人は悟った
もう後戻りは出来ない、と…


「吉野はどこにいる?」

「式には来てませんでした。」

今日、吉野が式た来てなかったのは不幸中の幸いか

これで…少しは時間が稼げる


師範は二人に背を向け
キィンと音を立てて、師範の右手には剣が握られていた


「この任務は必ずやり遂げろ。周りがどんな状況であろうと、吉野を鎖邊に渡すな。」

「ハイ!」

「必ず…吉野を見つけ出してみせます。」

どこか惜しむように
二人は師範に背を向け

そのまま来た道を走り出した