名前の無い物語



あの夜
誓い合った二人の笑顔が頭に浮かんだ


…いつも、陽斗が夜遅くまで特訓していたのは知っている
俺が分からなくなった時も、一番良い答えを教えてくれたのは陽斗だった

世界を救いたいと
只、陽斗はずっとそれを夢見ていたのに


なのに…?


「辞退して…陽斗に何のメリットがあるんだ…?」

フッ、と吉野は目を開いた


あんなに毎日必死に特訓して
やっと手に入れた夢

なのに、それを諦めて何になる?

それに、陽斗は自分の意思を曲げない奴だ
陽斗が夢を諦めるなんて考えられない


「何か…理由があるのか…?」

そう悟った瞬間
吉野は立ち上がった