名前の無い物語


「陽斗…。」

「…。」

不安そうに見つめる伊織に
陽斗は大丈夫だと、頷いた

昨日…吉野を深く傷つけてしまった
そんなつもりは無かったのに

だけど、吉野を傷つけて、怒らせてしまったのは確かだ


ーー俺達の夢だーー

陽斗はポケットから、花形の御守りを取り出す
それを見て、伊織も御守りを取り出した

あの日
三人で誓った…儚い願い

「…まだ、叶うよな?」

陽斗の消え入りそうな呟きに
伊織は悲しそうに俯いた


「時間だ。」師範の声に
二人は御守りをしまって師範を見上げた



「就任の儀式を…始めよう。」