名前の無い物語


わざわざ言葉にされなくても
吉野にはそれが手に取るように分かった


何だ

浮かれてたのは…俺だけだったんだ



「吉野、違うの。「何が違うんだよ。二人して、俺の反応を見て楽しんでたんだろ!?」

伊織の言葉を遮って
吉野は二人に叫んだ

二人を見つめる吉野の瞳には
怒りが満ちていた


「何が夢だよ。三人一緒に、同じ任務を受けるって…約束したのに。」

ずっと、密かに
俺はそれが夢だったんだ

伊織と陽斗とのこの幸せを護れるように強くなって
いつも俺の先を行く二人と肩を並べて

三人で…世界を護るのが…!


「お願い、吉野聞いて「もういい!」

「吉野っ!」

「待てよ!」

二人が呼ぶ声を無視して
吉野は背を向けて一目散に走り出した

その頬には
一筋の涙が流れていた