名前の無い物語


吉野の存在に気付いた二人は
どこかヤバイ、と言いたげで
そんな反応に、吉野は更に頭が混乱した

「今の話…なんなんだよ?」

震える吉野の声
その言葉に、二人は困ったように顔を見合わせた


「陽斗、就任諦めるって…何だよ?答えろよ!!」

訳が分からなくて
吉野は叫んだ

「嘘だ、騙されてやんの」
そんな言葉を、吉野はずっと待っていた

笑いながら
そう言ってくれる…そうだろ?

「…悪い、吉野。」

そんな期待とは裏腹に
陽斗から出たのは、謝罪だった


「何で…何で謝るんだよ?」

謝られたら
そんな事されたら…肯定したも同然じゃねぇか


「何でだよ、陽斗…?」

さっきよりも震えている声
次第に、身体全体も震えてきた

だけど吉野の問いに答えは返ってこず
只二人は困ったように俯いた


「…俺には、言えないって事か…。」