名前の無い物語


早く
早く

思ったら、早く二人に言いたくて
俺の気持ち
俺の…本当の気持ちを



乱れる息と狭くなっていく視界の中で
まだ話している二人の姿を確認出来た



良かった、まだ帰って無かったんだ!



「陽斗、いお「俺、マスター就任を辞退するよ。」




突然聞こえてきた言葉に
吉野は咄嗟に足を止めた

今、自分の声を遮って聞こえてきたのは
陽斗の…声?

じゃあ今の言葉は
陽斗…?


「…分かったわ。」

反論してくれると、何いってるんだと言ってくれると思っていたのに
伊織から出た答えは…肯定だった

「これで良かったんだ。もっと早く、俺はこうするべきだった。」

どこか清々しそうに言う陽斗
それを、伊織は悲しそうに見つめた


…何だ?
一体、何の話を…


「…吉野!?」